絹と化学繊維の見分け方

事例

本来絹であるべきものが化学繊維を使われていたということがあるようです。
<事例1>当店ではきものの丸洗いをお預かりしていますが、初めてご来店のお客様が長襦袢を持ち込まれて見させて頂いたところ、私がどう触ってみても化学繊維にしか思えないので「家でも洗えますよ」とご説明すると「ある呉服屋さんで絹の長襦袢だと言われて買った」と言われたことが何度かあります。単なるお客様の勘違いなら良いのですが、化学繊維を絹だと言って販売していたとすれば大問題です。
<事例2>「ある呉服屋で高額な絹の着物を作ったが、どうも裏地(胴裏や八掛)がポリエステルみたいで、着にくいので見てみてもらえませんか」という相談。

 技術の進歩で化学繊維でも絹の風合いに近くなっていますし、逆に品質の落ちる絹は化学繊維のようにカサカサした風合いのものもあるので、見分けがつきにくいことがあります。
仕立てる前の製品(丸巻きなど)の段階では長襦袢でも裏地(胴裏、八掛)でも品質表示を見れば分かりますが、着物に加工されると表示まではされないでしょう。

 

お買い物で失敗しない為に

明細をもらう

お誂え着物の場合(例)表地代+胴裏代+八掛代+湯のし代+仕立代 という様にお買上げ伝票に明細を表示してもらいましょう。
通常は絹の着物に化繊の裏地をつけるのはおかしいですし、化繊を絹と言って販売するのは問題外ですから、本来は聞くまでもないことですが、初めてのお店や極端に安い場合などは念のため確認してみてもいいでしょう。(近年は仕立上り品も多いので、絹の着物に裏地ポリエステルの表示がされているものもあるようです)
 但し、男の着物の場合は金巾(かねきん)と言う綿の胴裏を使う場合があります。もちろん正絹胴裏の方が高価で見栄えもするのですが、 硬くて擦れに弱い為、擦れに強い金巾(綿100%)を使う店も増えていると聞きます。頻繁に着物を着られる方は金巾(綿)を使われる方が実用的だといえます。

繊維の見分け方

絹と化繊の違いは触ってみれば大体見分けはつきます。化学繊維の場合、乾いたカサカサした感触があります。良質な絹はしっとり肌になじむ感覚や、擦り合せるとキュッキュッという絹鳴りの音や独特の摩擦感があります。ただ、前述の通り分かりずらい場合もあるので、その時は奥の手があります。

燃やす> 余り裂があれば、燃やしてみると見分けられます。
1、は髪の毛を燃やしたようにジリジリと縮んで、黒褐色の塊になります。つぶしてみると粉々になります。独特の臭いがあるので、覚えておくといいでしょう。
2、ポリエステル、ナイロンなど石油系の合成繊維は黒煙をあげて炎が上がり、冷えると硬い玉になります。
3、プロミックス(半合成繊維)は絹の燃え方に似ているようです。縮んで黒褐色に固まり押すと潰れます。髪の毛を燃やしたような臭いがあります。(プロミックスは牛乳蛋白カゼインを主原料とした繊維)

※化学繊維には合成繊維、半合成繊維、再生繊維があります。

どんなに技術が進歩しても、絹の風合いや機能にかなう繊維はありません。もちろん化学繊維には、シワになりにくい。カビが発生しにくい。縮まない。水で洗える(洗えないものもあります)などのすばらしい機能があるので、着用場面によって大いにいに利用すると良いと思いますが、伝統的に絹が主流の呉服では、化学繊維を利用する場合はその旨をはっきりお客様にお伝えするべきなのです。

 

いと善ブログ
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